2026年8月
何をする人か
食品衛生責任者は、営業者の指示のもとで施設の衛生管理を担当します。定められた措置が守られているかを見て、守られていないときには営業者に進言します。進言する立場である、という点が制度の要です。
施設ごとに1名です。同じ会社が3店舗持っていれば3名必要で、1名が3店舗を兼ねることはできません。営業許可の申請時に届け出て、代わったときには変更を届け出ます。
資格の取り方
多くの人は養成講習会を受けて資格を得ます。都道府県の食品衛生協会などが実施していて、公衆衛生学、衛生法規、食品衛生学の3科目、あわせて6時間程度です。修了試験はありますが、講習を聞いていれば答えられる内容です。
会場で受ける形式のほか、eラーニングを用意している自治体もあります。受講料と開催日は自治体によって違うので、営業所のある地域の食品衛生協会で確認してください。
講習会を受けずに就任できる人
次の資格を持っている人は、養成講習会を受けなくても食品衛生責任者になれます。
- 調理師
- 栄養士
- 管理栄養士
- 製菓衛生師
- 食鳥処理衛生管理者
- と畜場法に定める衛生管理責任者
- 船舶料理士
- 医師、歯科医師、薬剤師、獣医師
厨房に調理師免許を持つ人がいるなら、その人が就任するのがいちばん早い道です。あとで説明する実務講習会も、この経路の人には発生しません。
実務講習会は、義務の重さと間隔を分けて考えます
食品衛生法施行規則の別表第十七は、食品衛生責任者に対して「都道府県知事等が行う講習会又は都道府県知事等が認める講習会を定期的に受講し、食品衛生に関する新たな知見の習得に努めること」を求めています。
この文には2つの性格があります。ひとつは努力義務であること。「努めること」であって「受講しなければならない」ではありません。受けていないことが直ちに違反になるわけではありません。もうひとつは、間隔が「定期的に」としか書かれていないことです。年数は国の規定にはありません。
年数は自治体が示します。そして、示している数字は揃っていません。
- 横浜市:年に1回
- 川崎市:おおむね年1回を目安
- 埼玉県:5年以上受けていない人が対象
- 大阪府:営業許可施設は許可更新時や責任者変更時。集団給食施設は前回からおおむね5年
- 札幌市:営業許可施設は許可の期間内に1回以上(おおむね6年から7年)。集団給食施設は8年に1回以上
- 東京都:定期的に、とだけ示されており、年数の記載はありません
横浜と札幌のどちらも正しく、どちらも同じ一文を運用しています。横浜、大阪、札幌に店舗がある会社は、1社の中に3つの答えを抱えることになります。全国共通の年数を決め打ちすると、必ずどこかの店舗で外れます。
営業届出のみの業種は、この努力義務の対象外とされています。任意で受けることはできます。制度の細部は自治体で異なるため、最終的には管轄の保健所に確認してください。
不在は、届出の前から始まります
実務でいちばん起きるのは、資格を取り損ねることではありません。名前は届け出てあるのに、その人がもう店にいない、という状態です。退職、異動、産休。誰も悪意なく、施設は責任者のいない状態になります。
そしてこの状態は、外から見て分かりません。名簿にも許可証にも名前は残っていて、次に誰かが気づくのは立入検査の日か、変更届の締切に追われたときです。
複数店舗を持つ会社では、対策は2つです。
- 1誰が食品衛生責任者かを、店舗ごとに1つの場所で持つこと
- 2その人が名簿から外れた瞬間に、本部と店舗の両方が知ること
2つ目がないと、1つ目は古い情報になります。人が辞めるときに更新されない一覧は、更新されていないことに誰も気づかないからです。
資格そのものは照合できません
食品衛生責任者の資格を外部から照合できる公的な名簿はありません。誰が持っているかは、修了証と本人の申告で管理します。
だからこそ、記録する側は「確認済み」と「登録されている」を区別して扱うべきです。私たちの画面も、表示しているのは会社が登録した内容であると明記しています。照合できないものを照合したように見せるほうが、空欄よりも危険だからです。
