衛生管理計画の書き方 | 一般衛生管理8項目とメニューの3分類

2021年6月から、原則としてすべての食品等事業者に衛生管理計画の作成と、そのとおりに実施した記録が求められています。ここでは小規模な一般飲食店を想定して、書き出すところから月ごとの振り返りまでを順に説明します。

2026年8月

計画は2つの部分でできています

衛生管理計画という名前は大きく聞こえますが、中身は2つだけです。ひとつは一般衛生管理で、どの店にも共通する8項目。もうひとつは重要管理で、自分の店のメニューを3つに分け、それぞれの確認方法を決めるところです。

紙にすれば1枚から2枚に収まります。分量を増やしても評価は上がりません。見られるのは、書いたとおりに実施できているか、そして実施したことが残っているかです。

業種や規模によって参照する手引書が変わります。ここでは公益社団法人日本食品衛生協会「HACCPの考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店事業者向け)」令和6年1月改訂を前提にしています。

一般衛生管理の8項目

手引書の並びのまま、次の8つです。順番も名前も変えないほうが、後で確認するときに早く済みます。

  1. 1原材料の受入の確認
  2. 2冷蔵・冷凍庫の温度の確認
  3. 3交差汚染・二次汚染の防止
  4. 4器具等の洗浄・消毒・殺菌
  5. 5トイレの洗浄・消毒
  6. 6従業員の健康管理・衛生的作業着の着用
  7. 7衛生的な手洗いの実施
  8. 8温度計の点検

1項目につき書くことは4つだけです。誰が担当するか、何を確認するか、いつ行うか、問題があったときにどうするか。この4つが埋まっていれば、その項目は完成しています。

そのまま写して使える下書き

1項目めを例にすると、こう書きます。自分の店の仕入先名と設備名に置き換えれば、そのまま使えます。

1 原材料の受入の確認

担当
食品衛生責任者(不在時は店長)
確認すること
温度(冷蔵10℃以下、冷凍-15℃以下)、包装の破れ、期限、外観とにおい、納品書との一致
いつ
納品のたび、受け取る前
問題があったとき
受け取りを断り、何が違ったかを記録し、仕入先に連絡する

2 冷蔵・冷凍庫の温度の確認

担当
開店準備の担当者
確認すること
庫内の温度計を読み、記録する。冷蔵は10℃以下、冷凍は-15℃以下
いつ
毎日、開店前
問題があったとき
食品を動く設備に移し、状態を確認し、読んだ温度と行った対応を記録し、修理を手配する

残りの6項目も同じ形です。トイレは「便座、レバー、手すり、ドアノブ、蛇口」まで書いておくと、誰がやっても同じ結果になります。温度計の点検は、砕いた氷と水に1分ほど静置して0℃(±1℃)を示すことを確認する、と書きます。

メニューを3つに分ける

重要管理はここからです。全メニューを次の3つに分けます。

  • 第1群 非加熱のもの。冷奴、刺身、サラダ、漬物、デザートなど
  • 第2群 加熱してすぐ提供するもの。焼き魚、唐揚げ、炒め物、汁物など
  • 第3群 加熱後に冷却する、または再加熱するもの。カレー、スープ、煮物、ポテトサラダ、低温調理の鶏肉など

迷ったときは、一番手間のかかる工程で決めます。作って冷まして翌日に出すなら、加熱していても第3群です。第3群が一番多く確認することがあるのは、工程が多いぶん、うまくいかない場所も多いからです。

全品を1品ずつ書き出す必要はありません。同じ作り方のものはまとめて構いません。「揚げ物(唐揚げ、フライ、天ぷら)」で1行です。

それぞれの確認方法

分類が終われば、確認方法は決まります。数字は手引書のものです。

  • 第1群:提供するまで10℃以下。冷蔵設備の記録と、出したままになっていないかを確認する
  • 第2群:中心部が75℃で1分間以上。または63℃に達してから30分間。鶏の卵を使う料理は70℃で1分間以上。温かいまま提供するなら65℃以上で保管する
  • 第3群:加熱し、2時間以内に20℃以下まで冷却し、10℃以下で保管し、温め直すならもう一度75℃で1分間以上

危険温度帯は10℃から60℃です。第3群でいちばん気をつけるのは冷却で、大きな鍋のまま置くと、この温度帯に何時間もとどまります。浅い容器に小分けし、氷水に浸け、ときどきかき混ぜます。

見た目や色では判断しません。中心温度計を最も厚い部分に挿し、表示が落ち着くまで待ちます。使うたび、特に生のものと加熱後のものの間では洗浄・消毒します。

記録は何を、どのくらい残すか

様式は自由です。決められた用紙はありません。計画に「いつ」と書いたとおりに実施し、実施したことが分かるように残せていれば足ります。

保存期間は1年間程度(12か月)が目安です。飲食店では、この期間に賞味期限と提供期間がすべて収まります。

毎日すべてを測る必要はありません。毎日と書いた項目は毎日、毎週と書いた項目は毎週です。実際にできる頻度で書き、書いたとおりに続けるほうが、立派な計画を守れないよりはるかに良い状態です。

月に一度の振り返り

計画は作って終わりではありません。定期的に見直します。4つの問いに答えれば十分です。

  1. 1確認は実施し、記録しましたか
  2. 2問題は起きましたか。どのように対応しましたか
  3. 3従業員は代わりましたか。衛生管理計画の説明はしましたか
  4. 4メニュー、原材料、仕入先に変更はありましたか

3つ目でつまずく店がいちばん多いところです。人が入れ替わるのは飲食店では普通のことで、入った人に計画を説明したかどうかは、記憶ではなく記録で答えられるようにしておきます。

店舗が複数あるとき

1店舗なら、この計画は午前中で書けます。9店舗になると、9通りの書き方、9通りの用紙、そして本部からはどこまで進んでいるか見えない状態になります。手間が9倍になるのではなく、揃わなくなることのほうが問題です。

同じ下書きから始めれば、店舗ごとに違うのは本当に違う部分だけになります。仕入先も冷蔵設備も清掃区域も、すでに登録されている情報から書き出せます。

衛生管理計画を全店ぶんまとめて作る

全店の状況を、1つの画面で

クローズドベータにご参加いただける店舗を募集しています。

ベータ期間中の費用はかかりません。